世界の壁紙の歴史
家屋内部に紙を貼る習慣があった中国が壁紙の始まりとされています。その後、宣教師が持ち帰りヨーロッパに伝わったそうです。ヴィクトリア朝のころ、ウィリアム・モリスのアーツ・アンド・クラフツ運動の中で、アラベスク(唐草文様)などが印刷された壁紙が世界中に広まりました。
日本へは中国から壁紙文化が平安時代に伝わったとされ、屏風や襖、障子として今日まで根付いています。壁紙が普及したのは1960年代のマンション(集合住宅)ブームでした。大量に生産できるビニル壁紙が生まれ、広く日本の家庭に普及して現在に至っています。
一方、ヨーロッパの壁紙は、産業革命の結果として大量生産による安価な、粗悪な商品をモリスは批判して、中世の手仕事に帰り、生活と芸術を統一することを主張しました。1880年代になるとモリス商会と同じような理想をかかげる工房やアトリエが多く生まれました。ヨーロッパの壁紙は現在も根強く継承されています。日本で普及しているビニル壁紙とは歴史も考え方も全く違うのが理解できます。